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2017年6月29日 (木)

【異文化交流報告②:ベトナム】5年生 後藤泉稀さん

第7回(2016年度)「共に生きる社会 めざして」高校生作文コンテスト

(主催:国際医療福祉大学、毎日新聞社) 優秀賞(全国2位) 副賞:ベトナム医療ツアー

 

ベトナム旅行記

盈進高等学校2年 後藤 泉稀(ごとう みずき)

1 はじめに/感謝

今回は、「ベトナム医療福祉体験ツアー」に参加させていただき、ありがとうございました。国際医療福祉大学のみなさま、一緒に参加してくださった先輩方、本当にお世話になりました。そしてなにより、私たちをあたたかく受け入れてくださった現地のみなさま、ありがとうございました。コンテストに応募した文章に書かせていただいた方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。

 

2 チョーライ病院

チョーライ病院は、特に重症の患者さんが集まる病院だ。外来患者だけでも、1日5000人を越す。その中でも、ケガで病院に来る人が一番多く、死因のトップもケガだ。それはやはりベトナムの交通問題が原因だ。ベトナムでは、バイクの多さを目の当たりにし、驚いた。交通渋滞は当たり前で、ルールも「理想としてあるだけ」だという話も聞いた。ケガは防げることだけに、とてももったいない気がした。しかし、それを減らそうと思ったら、新たな交通機関をつくったり、交通ルールを決めたり、国が政治的に大きく動かなければならない。医療福祉の問題は、政治や経済とも連動していると学んだ。

 

3 障がい児施設訪問

障がい児施設の訪問では、子どもたちの笑顔に癒された。家庭の事情で十分な暮らしが出来ない栄養失調の子どもたちだった。楽しくじゃれ合いながらも、私は日本国領事館で聞いたお話を思い出した。ベトナムは貧富の差が大きく、それは教育にも比例している。教育は、日本と違い“義務”ではなく、受けたい人が受ければいいという“権利”だそうだ。教育や医療は誰もが平等に受けなければならないと思うが、私たち日本の生活が贅沢だからこそ簡単に言ってしまえることなのかもしれないと思う。

医療福祉も教育の問題も、現地に立ち、そこに暮らす人々の「生の声」を聞かなければ、支援や協力の仕方を間違える可能性がある。だから、直接つながることの大切さを痛感した。

私一人の力では、それらの問題を解決するのは不可能だ。でも、出来ることはある。ベトナムで得た出合いと学びをさらに深く掘り下げ、広げていくことだ。

 

4 JICA訪問

JICAの方にお話を聞かせていただいた。担当者は、こうおっしゃった。「国際協力は『選択肢を増やすこと』」。国を越えて、支援や協力、技術などを現地の方々に伝えていくとき、あまり一方的に言い過ぎると、日本(人)はキチキチしていると、嫌われてしまうそうだ。確かに、今の生活で幸せなのに、どうして苦労してまで、生活を変える必要があるのかと思うのだろう。

「相手のすばらしいところを見つけ、共に生きる」という対等な視点こそ国際協力を進める時に重要だと考える。長期的な支援には、義務的、機械的に、あるいは、ガイドラインどおりに交わるのではなく、最も重要なのは、人と人の対等、平等な関係だと思う。幸せのカタチはさまざまだ。それを崩さず、現地の人々の思いや暮らしを理解しようと努め、寄り添い、互いに心を分け合い、ヒューマニティーに基づいた関係を築く。これが真の国際協力なのではないかと考えた。その感覚で国際協力を進めれば、どうすればケガで亡くなる人を減らせるか、どうすれば教育が十分に行き渡るか、共に考え、共に生きる社会を、共に作り上げていくことができると思った。

 

5 ベトナム戦争の傷跡~いまも~

ベトナムは、ベトナム戦争によって、他国に比べて、40年遅れていると現地の方がおっしゃっていた。あの悲惨な過酷な過去を生き抜いた人々は今も必死にその過去と向き合っている。そのことを私たちは忘れてはいけない。戦争証跡博物館で、枯葉剤によって今も苦しんでおられる人がいることを痛いほど感じ、言葉を失った。犠牲になっている人の多くは何の罪もない市民だ。特に、枯葉剤の影響を受け、結合双生児の標本は、私に「戦争ほど愚かなものはない」と訴えているようだった。自分の声で訴えることができない、その子どもたちに向き合った時、この惨禍を伝え、二度と同じ過ちを繰り返さぬようにすることが私の責務だと誓った。

 

6 おわりに/ベトナムが大好きになった

今回の出合いと学びは、私を大きく成長させてくれた。私は、ベトナムが大好きになった。ベトナムの発展は、第一に、ベトナムの方々の日々の努力そのものだろう。ただ、支援させていただく私たち日本(外国)の、考え方や態度をどう改めるか、それもまた、重要な視点だと思った。

私はクラブ活動で被爆者やハンセン病回復者など、社会的弱者の方々とつながり、学び続けている。彼らに共通していることがある。「もう誰にも自分と同じ思いをさせてはならない」という復讐と敵対を超えた素朴で崇高な思想だ。そして、誰もが「正しく知って、正しく行動せよ」と訴る。

私は今後、「支援」というより、ベトナムの過去、現在からもっと謙虚に学び、共に生きていきたいと思った。最後に!すべての人に!シン・カムオン!(ベトナム語で“ありがとう”)

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